1400系

  概要

製造年   :2005年

所属    :法施検車区

使用線区  :一洋本線、境瀬おおはし鉄道

軌間    :1435mm

編成    :4連

車内設備  :リクライニングシート

最高速度  :105km/h

起動加速度 :3.0km/h/s

全長    :19m

車体                :アルミニウム合金

台車    :モノリンク式ボルスタレス台車

主電動機  :かご型三相誘導電動機

制御方式  :VVVFインバータ

制動装置  :電気指令式ブレーキ

保安装置  :共通ATS

  編成表

  ■>  
+

1411(Tc)

1412(M) 1413(M) 1414(Tc) +
  CP VVVF,SIV VVVF,SIV CP  
141編成 1411 1412 1413 1414 法施  
142編成 1421 1422 1423 1424  法施  
143編成 1431 1432 1433 1434 法施  
144編成 1441 1442 1243 1444 法施  
145編成 1451 1452 1453 1454 法施  
146編成 1461 1462 1463 1464 法施  

  概要

 1400系は2005年に境瀬おおはし鉄道乗り入れ開始に伴う西界~言葉間を一洋地区廻りでの直通運転開始と、快速特急せんたい号の登場に合わせて製造された形式です。

 

  快速特急いちよう号

 1980年代まで一洋本線に走っていた快特せんたい号は基本1時間間隔で利用者の多い期間は間に臨時列車を入れる方針で運行されていました。1990年までは観光需要が高く推移していましたが、同年を境に年々観光客は減っていきます。1990年代前半までは1989年に登場した0系のハイデッカーの展望席などの豪華な車内設備が珍しく休日の利用者は減っているにしても依然として多い傾向にありました。それも1990年代後半になるとあまり目を引かなくなり利用者の減少度が増していきました。利用者の減少がより大きかったのが平日昼間の利用者です。1990年からこの時間の利用者は激減してしまいます。1時間間隔の運行な上わざわざこの列車に指定席料金を払ってまで乗らなくても20分間隔で走っている一般席車の特急に乗れば速達性も十分確保されているというのが理由です。

 一急では景気が良かった1980年代が過ぎ1990年代後半頃から一洋本線の指定席列車のあり方を変えようと考え始めます。これまで観光のための列車という側面が強かった一急の指定席列車ですが、観光需要が減っていることから、観光以外の利用者を確保することが必要でした。1時間間隔で使いにくかったダイヤは、西界~村島間の日常利用の多い区間では20分間隔の運行を計画します。これにより待ち時間が大幅に短縮され思い立ったらすぐ乗れるようになります。しかし単に全車指定席列車を3倍にするのでは運行コストがかかりすぎます。そのため一般席車6両と指定席車4両を連結した10両編成の「快速特急いちよう号」を考案しました。快速特急いちよう号は指定席列車の数が増えるのと同時に、今まで別で運行していた指定席列車と一般席列車を1本の列車に統合したことにより全体の列車本数は削減されており乗務員の人件費削減にも寄与しています。一般席車と指定席車を同時に運転するため指定席料金の不要な一般席に旅客が流れがちですが、「いちよう号割引料金」を設定したり、ホーム上に簡易指定席整理券発券機を設置したりして利用のハードルを下げました。またホーム上の快速特急いちよう号の指定席車が停車する位置に発券機とともに一急直営の売店を設け指定席整理券を提示すると飲み物が1個割引で買えるサービスを作りました。

 この快速特急いちよう号は2006年から運行が始まり、増発と値下げの効果で今までの快特せんたい号より全体の利用者は増加しました。指定席車の使用車両はいちよう号の為に作られた1400系と改造された0系の2形式です。20分に1回来る4両の指定席は過剰供給であるというのは言うまでもありませんが、逆に満席になることはまず無いという安心感が生まれたり、常に空いた車内で落ち着いて移動ができる利点もあります。

  1400系登場以前の首都(蛸山市)~言葉間の輸送

 言葉市は元国際港があった都市で、百数十年前に国際港の機能が朝沢市に移った後も地形的な利点を生かし国内の重要な港を有する土地として発展しています。言葉~蛸山首都圏間の輸送の需要は高く、省営鉄道も百数十年前の鉄道黎明期からこの区間に優等列車を運転しています。

 一急における蛸山~言葉間の輸送は、1970年代までは蛸山市内の副都心西界~国崎間は全車一般席の特急電車で移動し国崎~言葉間の境瀬海峡は船舶による運行でした。一急では必ず電車と船舶の乗り換えがある為時間と労力が必要で、蛸山~言葉間の輸送は省営鉄道を選ぶ人が多数派でした。1982年からは西界~国崎間に全車指定席車の快特せんたい号が登場し快適性と速達性が向上しましたが、乗り換えが必要なのは変わらず時間的には省営に敵いませんでした。なお快特せんたい号は首都~言葉間の輸送の目的より、首都~一洋地区(村島、千体山、国崎など) の為に設定された側面の方がメインでした。

 一急で西界~言葉間直通での運転の最初は1985年からの式電快特です。朝沢~言葉間を式瀬経由の北廻で運行している式瀬電鉄は以前から首都乗り入れの念願があり、首都~言葉間の直通運転がしたい一急との考えが一致して計画されたものです。朝沢駅は以前は式電と一急で別の場所に駅があり徒歩による乗り換えが必要でしたが1985年に地下化され電鉄朝沢総合駅が使用開始となりました。そしてこの年より念願の西界~言葉間直通運転が式電快特はやせ号で開始されます。概ね1時間間隔での運行で使いやすい式電快特は好評で省営から同区間における約半数のシェアを獲得します。

 一洋本線での首都~言葉間の輸送は1989年に展望席を備える0系が登場しサービスの向上は図られましたが、依然として言葉までの利用客は多くないまま推移していました。

  境瀬大橋開通と一洋本線での西界~言葉間直通運転開始

 国崎~言葉間は境瀬海峡により陸路では続いておらず一洋地区から言葉までは長年船舶での輸送が行われていました。2004年には同区間を長大な吊り橋で結ぶ境瀬大橋が完成し2006年からは第三セクターの境瀬おおはし鉄道が開業し省営鉄道と一急が乗り入れを開始します。一急の境瀬おおはし鉄道乗り入れ列車は快速特急いちよう号で指定席車と一般席車がともに運転されます。これにより首都~言葉間の鉄道輸送は省営鉄道の急行・特急、一急と式電を通る式電快特はやせ号、一洋本線と境瀬おおはし鉄道を通る快速特急いちよう号の3通りに選択肢が広がりました。そのうち省営鉄道は長距離列車の区間利用となる為、運行間隔が不均等だったり他区間利用客が多かったりで思い立ったらすぐに使えるものではありません。一方一急は式電快特と快速特急いちよう号がともに1時間間隔で運転しており、両方を合わせると30分間隔で首都(西界駅)~言葉間に優等列車があることになり、もはや時刻表を見なくても使えるようになっています。